皆さんこんにちは!
正福丸、更新担当の中西です。
さて今回は
~遊漁船の“心臓”を守る~
エンジンは遊漁船の心臓です。
しかし塩分・熱・振動という過酷な条件の中で稼働し続けるため、陸上エンジンとは全く異なるケアが必要です。
🧩 1. 燃料系統の管理
海上でのエンストや始動不良の多くは、燃料トラブルが原因です。
ディーゼル船なら燃料フィルター、ガソリン船ならキャブレター・インジェクター周辺にトラブルが集中します。
チェックポイント:
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水分混入(タンク結露)
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ディーゼルバグ(バクテリア汚染)
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フィルター詰まり
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サプライホースの亀裂
特に長期間使用しない冬期は、タンク内の水分分離を徹底。燃料安定剤を添加するのも有効です。
⚙️ 2. 冷却系統の塩害防止
エンジンの冷却水ラインには、海水が直接循環します。
そのため、塩分結晶や砂の堆積による詰まりが発生しやすい。
航行後には、真水フラッシングを必ず行い、インペラーやストレーナーを定期点検。
また、アノード(亜鉛電極)は電蝕防止の命綱です。
消耗が50%を超えたら即交換。
放置すると、冷却ジャケットや排気マニホールドの腐食を招きます。
🔧 3. プロペラ・シャフト・舵の調整
プロペラに小さな傷や歪みがあるだけで、振動や燃費悪化の原因になります。
上架時には、必ず以下を確認。
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プロペラのバランス
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シャフトブッシュの摩耗
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ストラットベアリングのガタ
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舵軸パッキンの漏れ
軽微な異音や振動を放置すると、ミッションやギヤケースに波及します。
「走りに違和感を感じたらすぐ点検」が原則です。
🔋 4. 電子制御エンジンの診断
最近の船外機・ディーゼルはECU制御(電子制御ユニット)化が進んでいます。
エラーコードの履歴や燃焼時間・水温履歴などを専用ツールで読み出すことで、
「故障の前兆」を数値で掴むことが可能です。
また、定期的なソフトウェアアップデートにより、燃費・出力・排ガス性能が改善されることもあります。
ディーラー整備と独立メンテの両立が理想的です。
🧭 5. エンジンメンテは“航行の信頼性”そのもの
遊漁船の船長は、自らが「整備士」であり「操船者」でもある存在です。
エンジンの音・排気の色・燃費の変化を日常で感じ取り、異常を早期に察知する能力が安全を守ります。
